【築99年】古民家Rebornプロジェクト〈その2〉―「困りごとは何ですか?」

インテリア

Mさんのお宅、古民家ならではの素敵な箇所がいくつもあります。

大正時代の流行りだったのでしょうか?
扉の隣に小さなショーウインドウが・・・。
古いタイル貼りも、今見ると新鮮に見えます。
手を加えてあげたら、さらに素敵に生まれ変わりそうですよね。
この様に、あちらこちらの素敵ポイントを探しながら、しばらくはお片づけに精を出して行きましょう!

それでは、前回の続き「コンサルティング」の内容について見て行きましょう。

困りごとは何ですか?


相談にのって下さるのは、お片づけと収納のプロ『収納企画トトノエ堂』さん。
https://totonoedo.co.jp/concept/
収納計画や片付けのサポートだけでなく、暮らしの質を上げる「片付くしくみ」をつくるお仕事をされています。
トトノエ堂の野上先生が、日常生活の様子や困りごと、今後どんな風に暮らして行きたいか?など、質問して行きます。
その後、今回のケースに合う提案をして下さる様です。

ストレス過多な生活導線

さて、Mさんの日常生活は?困りごとは?・・・
Mさん夫婦の日常生活についてお聞きしてみると、幾つもの課題が見えて来ました。
先代から引き継いだ酒店(2021年廃業)兼自宅の母屋と庭を挟んで離れがあり、庭の脇にはがあります。
おふたりは毎日、【母屋】【離れ】を行ったり来たりして暮らしているそうなのです。

「食べる」「寝る」は【母屋】で。
「洗濯」「入浴」は【離れ】で。

夏はともかく、冬は「入浴」した後、屋外に出て、庭を通って母屋に戻る間に身体が冷えてしまいそうです。
「洗濯」も、離れで洗ってから母屋まで運び、軒下に干しているそうです。
移動距離が長く、大変そうです。
そして不便
さらに、万が一転んだりしたら・・・。怪我も心配
Mさん夫婦は、困りごととは意識せず、当たり前に繰り返して来た生活習慣だと思いますが、
「入浴」も「洗濯」も毎日行なう家事ですので、もっと楽に行える方法を考えたいですね。

ルームツアーで分かったこと

コンサルティングの後、家の中を見て回るルームツアーを行いました。
Mさんのお宅の間取り図はこちらです。


母屋は、先代であるMさんの両親がご存命で昭和に酒屋を営んでいらした頃のまま、家具の配置なども変えることなく、使っているそうです。
長年使っていない部屋も多く、そこにはかつて住み込みで働いていた酒屋の従業員さん達が使っていたという布団も20組ほど残されています。
他にも贈答品の箱類が積み上がっていたり、99年は大袈裟かもしれませんが、昭和平成を過ごした物たちがすべて残されている様子でした。
野上先生によると、ルームツアーでひと部屋ずつ見て回ることで、現在の生活にどのような支障があるのかが見えて来るそうです。
また、各部屋の物量を確認して、今後の片づけスケジュールを組み立てて行くそうです。

特にキッチンは不便

ルームツアーの中で、キッチンの状態が特に印象に残りました。


昭和時代のキッチンで、窓際には流し台(シンク)とコンロ(以後シンクと呼びます。)が並んでいます。
お部屋の中央には、机とガラス貼りの食器棚(以後アイランドと呼びます。)が背中合わせに置かれています。
狭いキッチンの中で、アイランドが場所を取っているので、近くに冷蔵庫が置けません。
本来なら、シンクの近くに配置したいところですが、今冷蔵庫があるのは、アイランドを挟んだシンクとは真反対側の壁際。
料理する際、冷蔵庫から食材を取り出したいと思っても、中央にあるアイランドを越えて(回りこんで)行くことになります。
キッチンの使い勝手は、特に奥さんにとって大きなストレスにもつながります。
ぜひ改善したいところです。
レイアウトももちろんですが、現在は棚という棚に、乾物などの食品、大量の食器(かつて大所帯だった頃のまま)が入っています。
置く場所、入れる場所があると、物も増えてしまうのかもしれません。
物量についても、住む人に合ったサイズに調節したいですね。

楽に安全に暮らすには?

ルームツアーの後、Mさん夫妻に改めてお話を聞きました。
Mさん「使っていないもの、不要なものを減らしたいです。そして、生活の場をすっきりコンパクトにして、暮らしやすくしたいです。
そして、この家を良い状態で次の世代に残せたらいいなと思います。」

こちらの図にもある通り、現在のMさん夫妻は「モノ」に体も気持ちも振り回されている状態だと言えます。
具体的なゴールを決め、おふたりが住まいの主役となって「モノ」をコントロールしていくことで、【暮らしの質を改善】することができるのです。

具体的なゴール

それでは、具体的なゴールは何でしょうか?
コンサルティングとルームツアーの結果、今回のプロジェクトでは
1.「今の暮らしに合わせたコンパクトな生活導線をつくる」
2.「不要なものを取り除き、建物を維持管理しやすい状態にする」

このふたつが具体的なゴールとなりそうです。

それでは、次回はゴールに向けての『片付け計画』と、初回お片づけの模様をレポートしたいと思います。
では!!

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